ろうそくを立てる台。ろうそく立て。仏前の燈明のために、五具足の場合は二基、三具足の場合は一基用いる。金属製が多い。現在使用されている燭台は、数重のくびれのある茎の上に花形をとりつけたものと、亀の背に立った鶴が、嘴(くちばし)にくわえた蓮茎の端に、苻葉をとりつけたものが代表的である。後者は真宗系に多い。
鶴亀のかたちは、昔は床飾りにのみ使われていたが、のちに、仏前の三具足に用いられた。また、仏前の菊燈台は、油火をつけるために用いられるが、上部にろうそくを立てる装置があるので、燭台を兼用することも出来る。
なお、葬儀のさいは、湯灌をすませて北枕に遺体をのべ、逆さ屏風を立てたのち、枕もとに小机をおいて、一輪ざし(一本花)、香炉(一本線香)、一膳飯、団子、水などとともに燭台も供え、僧侶を招いて読経してもらうのが古来のしきたりである。また現今では、ろうそくの代りに電燈で灯りをとる例も見受けるが、やはり古来のままに、ろうそくを使うのが理にかなっている。
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