出棺は告別式のあと行なわれる。出棺前に遺体との最後の対面がある。生花の花をちぎって入れたりする。棺の蓋をして釘打ちをする。釘打ちは、仏教では、頭の方から、喪主から血縁の濃い順に、小石で一打ちずつするならわしである。小石は、三途の川の石にたとえられる。縁者たちがそれぞれ一打ちずつ打ったら、あとは葬儀社の人に任せるのが普通である。
棺は、遺体の足の方から遺族の手によって玄関まで運びだす。頭の方を先にする地方もある。運びだしたら、見送りの人に礼の言葉を述べる。あとは、葬儀社の人なり、手伝いの人に棺をまかせるのが一般的である。しかし、以上はあくまでも平均的な経過であって、出棺にともなう儀礼は、地方によって様々な風習がある。
中でも著しいのに、出棺前に、親族・縁者が会食するならわしがある。出立ちの膳、立ちめし、泣き別れ、別れのおみき、などと呼ばれる。立ったままで食べるとか、酒を飲まぬ人はそれで指をしめして額に塗るとかの習俗がある。また、出棺には通常の出入口を用いず、茶の間や縁側から出す例が多い。壁をぶち抜いてそこから出すならわしもある。出棺のとき、死者の常用していた茶碗を割る風習も知られる。
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