葬儀式関連用語と解説

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じゅず(数珠)

別名で、ずず(誦数)、ねんじゅ(念珠)。仏前で礼拝するとき、手に掛けて用いる。また、念誦のときに珠を手繰り、記数の役をはたす。古来、チベット、中国、モンゴル、日本などで、数珠は重要な法具として使われてきている。
 インドでも瓔珞などと一緒に古くから用いられている。数珠の玉は百八箇が基本である。そのほか、もっとも多いので千八十箇、少ないもので五十四箇、四十二箇、二十七箇、二十一箇、十四箇と、玉数がわかれている。百八箇を基にする理由は、菩薩修行の途上、百八の煩悩を断ちきるという意味からきている。百八箇を主珠(しゅしゅ、または子珠)という。主珠以外に、母珠(もしゅ、親珠)といわれる、房つきの丁字に穴のあいている珠があり、これが数珠の中心である。母珠は箇相対してあり達磨(だるま)という。そのほか定数のほかに、四天、記子(弟子珠)、記子留(露)、浄名(維摩)などの珠をつないである。四天は、定まった問隔で四箇ある。以上は、古来から用いられている二輪(ふたわ)の数珠の場合であるが、略式として一輪(片輪)もあり、一般家庭で使われている。
 また幼児用の腕輪数珠もある。数珠に使う素材は、もっとも廉価な合成樹脂や硝子玉をはじめとして、菩提樹、黒檀、金剛石、紫水晶、珊瑚、翡翠、象牙、桑、雲南石、虎目石、海松、天竺菩提樹、星月菩提樹など多種多様にわたっている。総は、普通は紫または白の糸を用い、梵天総とばら総とがある。数珠は、各宗派によってそれぞれ形がちがっている。そのちがいの大略を記すと次のとおり。真言宗=末節が三総または二岐に分かれている形から、振分け数珠とも呼ぽれる。また、真言宗以外でも用いるので、八宗用ともいわれる。小ぶりの菊総のものは在家用として一般に用いられている。浄土宗=輪ちがいの数珠が多く用いられる。二つの輪ちがいのものに丸カン(金の輪)が付いているのが特徴で、日課念仏用の繰り念珠である。片手数珠は在家用として多く用いられている。
 浄土真宗=基本的には、浄土宗と同じであるが、裏総が、蓮如結びといわれる独特の結びかたになっている。在家用も基本は同じである。寸法で決められ、珠の数は制限がないという特徴がある。
 目蓮宗=現在使われている形は、室町期に採用されたものといわれている。寺院、在家とも同じ形のものを用いる。
 禅宗各派=臨済宗、黄檗宗とも、装束数珠は同じものが用いられている。曹洞宗は、母珠、向珠、四天の間に主珠が十八箇ずつ通されている。在家では、八宗用数珠、片手数珠が用いられる。
 天台宗=天台宗では、平珠のものが多く用いられる。母珠一箇、四天四箇からなる。総は片方に十箇の丸珠、片方に平珠二十箇が付げられる。以上のほかに、修験道に用いる輪の大きい、刺高(いらたか)数珠(行者数珠)は、平珠で咒文(じゅもん)を誦えるさいにこれを両手で揉む。これは、真言宗で、導師が誦経(ずきょう)に移ることを衆僧(しゅぞう)に告げる合図のために、鳴らしたことからきたといわれる。
 また、忿怒(ふんぬ)尊(明王)を礼拝するさいには、頭蓋骨の小片を連ねた数珠を用いることがある。なお、百八箇の定数の場合、半数の五十四箇が菩薩五十四位、さらにその半数の二十七箇が、二十七聖賢を表わすともいわれている。

参考文献:「葬儀大事典」(鎌倉新書)  | yeohoo |