臨終勤行ともいう。枕飾りができたあと、納棺のまえに、死者の枕元で行われる読経。旦那寺の僧に依頼するが、間にあわないときには、近所の寺僧にたのむ場合がある。地方によって枕経は、死者がでるとすぐ枕元であげるところと、通夜のときにあげるところがある。
枕経は、インドでもあったならわしで、古くには通夜僧(伽僧=とぎそう)が、終夜読経した。江戸時代には、キリスト教を禁止する幕府の政策上、屍体検査の意味もあったという。
渡辺照宏の『死後の世界』によれば、チベットにおいても、死者があると、引導師のラマ僧を招き、死者の枕元で、極楽往生するよう経を読む。そのさい、親類縁者すべてを部屋から出し、出入口をふさぐ。引導師は、読経のあと、死者の頭の天辺(てっぺん)の毛を数本引抜き、気合いをかける。この秘法によって、死者の脳天に穴があいたことになり、魂がそこから飛び出して行くと信じられている。このとき、鼻血が出ると、佳い徴侯とされている。秘儀には、一時問あまりをかけるという。
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